2014年6月13日金曜日

退職金と借入金の相殺  その1

先日、退職金を払う際に、会社に借入金があるので、それを相殺して支払うことの是非についての質問があった。結論から言えば、労働基準法上それはできないという回答になる。以下、その理由を解説したい。


一般的に知られているところでは、賃金と借金は相殺できない。それは、労働基準法第24条に違反するからである。その労働基準法第24条の条文を以下掲げる。


(賃金の支払)
第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。


どの内容に違反するかといえば、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」中の「その全額を支払わなければならない」というところに違反するのである。いわゆる全額払いの原則に違反する。もっとも、社会保険料や源泉所得税など法令に別段の定めがある場合や労使協定がある場合は、控除できるのだが、借金の場合は、この別段の定めにない。


では、退職金の場合はどうか。問題となるのは、この退職金が賃金にあたるかということである。もし、退職金が労働基準法上の賃金でなければ、「全額払いの原則」から外れることになる。この問題の検討を次回に行う。








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